なんてったってパリ〜ルーベ 

 ついに、この季節がやって来た!「北の地獄」と言われるパリ〜ルーベ。私は、ワンデーレースの中でも、特にこのレースが大好きで、このレースを見るのも、今年で5年目。

 なんてったって、パベ(石畳)のコースがすごい。でも日本で、パベと言っても、きっとピンと来ないだろう。だって、日本で石畳って言ったら、神社とかにある平ぺったい石畳か歩きにくい石畳の階段くらいしか思い出せない。

 でも、このパリ〜ルーベのパベは、そんなもんじゃない。今日(4月9日)、3年ぶりにパベで有名なアランベールの森を自転車で、走って来たけれど、走りながら考えた。う〜ん、この感覚は・・・。3年前に走った時、マッサージにかけられたみたいな感覚で、体がばらばらになりそうなんだけど、なんだか楽しいと思った記憶がある。でも、その時はパベが乾いてた。でも、今回はちょっと湿っていて、パベの端は泥でぬかるんでいた。う〜ん、これは、なんと表現すればいいのか?とんちを解く一休さんの気分になりながら、走ったていたら、コン、コン、コン、チ〜ン!ひらめいた!川辺のごつごつ石の上を走ってるような感じなのだ。たまに水がついてたり、苔むしてたりして、つるりんと言う危険性があるところなんか、ぴったり。私は、タイヤが太くて年季の入ったスペシャルバイク(4年前に知り合ったおじさんに借りたもの)で走ったので、こんな事が言えるのだが、これがあのロードの細いタイヤで走るとなると、転倒、パンクは当たり前と言う事になる。

 そんな危険なコースを選手たちは、平然とかけぬけていく。それも、すごいスピードで、ガチャガチャ凄まじい音をたてながら、走っていく。総距離270キロのうち、計50キロぐらいのパベゾーンを走るのだから、この勇気と度胸が、なんてったってすばらしい。その上、かなりの集中力と判断力が必要とされるに違いない。

 雨のパリ〜ルーベの泥まみれの悲惨さは、結構知られているかもしれないけれど、晴れたら、晴れたで、先導する車の巻き上げる埃で、前が全く見えないほど真っ白になる。耳の穴も、鼻の穴も、口も、体も埃まみれで、そりゃそりゃ見てたら、気の毒でしょうがない。

 ただ走るだけでも、こんなに過酷なレースなんだから、集団でゾロゾロ走ればいいんじゃないかと思うのだけれど、これがどっこい、いつも熾烈なアタック!が何度もかけられるのだ。それも、たいていパベの上でアタックがかけられる。後半は、一時も目が離せなのがこのレースの面白いところで、97年は本当に泣けた。後半、激しいアタックが繰り返され、ミュセーウ、チミル、モンカッサンの有力3選手の先頭グループができ、ゴール約13キロ手前でミュセーウがアタックしたら、不運にもパンク。これで、モンカッサン、チミルで決まったと思ったら、2人ともゴール前で先頭を走るのに戸惑って、後ろから猛スピードで追い上げてきたミュセーウ、ソレンセン率いるグループに追いつかれてしまい、結局モンカッサンもチミルも、ミュセーウも優勝できなかった。何度も試みたアタックが、水の泡となってしまったのが、その年のレースで、モンカッサンがワーワー泣いていた。ミュセーウがパンクしなかったら、3人の中で誰かが優勝してたに違いなかったし、チミルとモンカッサンがそのまま走っていれば、1・2位を取れたであろうレースだったので、本当に気の毒だった。まあ、これが自転車レースの面白い所だから、しょうがない。

 そういう訳で、一度見たら、病み付きになるのがこのレース。現地で見るにこした事はないけれど、ぜひ日本でもテレビで放映してもらいたいレースだ。ちなみに、去年NHK衛生放送で、チミルに焦点を当てて、パリ〜ルーベ特集が放映されたけれど、自転車レースファン以外で、この放映を見た人はどれぐらいいたのだろう。放映時間が未定だったので、私としてはすごく残念だった。パリ〜ルーベを見れば、自転車レースにあまり興味のない人も、はまるに違いない。来年ぐらいは、日本でもパリ〜ルーベのレース放映してくれないかな?

 

99年4月9日作成


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