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カジノのアレクサンドル・ビノクロフ |
【新星登場ミディリーブル】
現在イタリアはジロが行われているが、フランスでは、18日から23日までミディリーブルが行われた。
18日の第1ステージで、ディビジョン2のバスクチームウスカルテルから、無名のバスク人、アルベルト・マルティネス(23歳)が66キロ地点でアタックをかけ、集団との差を最高10分55秒離した。
「このステージはスプリントゴールになるので、スプリンターのいるチームが動くのを待っていた。」とフェスティナのウラジミール・ベッリが言うように、集団は最後まで動きを見せず、集団からかかった何度かのアタックで、差を縮められたものの若きマルティネスは、そのまま走り抜き、集団を2分40秒離して、103キロの独走を果たした。
「逃げたのはちょっとした過ちだったんだ。ステージ優勝なんて出来ると思ってなかった。」と、ステージ優勝、総合トップ、さらに全ての賞(スプリント賞、山岳賞、新人賞)を手に入れたマルティネスは、喜びいっぱいだった。
ミディリーブル 第1ステージ | 総合成績 |
1.アルベルト・マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 4時間16分9秒 | 1.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 4時間15分56秒 |
2.ストレール(ベルギー、ホームジャック&ジョーンズ) 1分48秒遅れ | 2.ストレール(ベルギー、ホームJ&J) 1分55秒遅れ |
3.デビアン(フランス、コフィディス) 1分48秒遅れ | 3.デビアン(フランス、コフィディス) 1分57秒遅れ |
4.メニアン(フランス、カジノ) 1分48秒遅れ | 4.メニアン(フランス、カジノ) 2分1秒遅れ |
5.Kyneb(デンマーク、ホームジャック&ジョーンズ) 1分48秒遅れ | 5.Kyneb(デンマーク、ホームJ&J) 2分1秒遅れ |
第2ステージは、サルモン(フランス、カジノ)とラウル(フランス、ビッグマット)が前半逃げを見せた。途中からサルモンの独走になり、ゴールまで疾走するが、昨年の覇者デュフォー(スイス、サエコ)、バッスー(フランス、クレディアグリコル)などの追い上げで、ゴール手前で敢え無く吸収。アタックしたデュフォー含む6選手のゴールでのバトルが繰り広げられ、ビノクロフ(カザフスタン、カジノ)が勝利をものにした。
「ゴール手前1,5キロで、みんながチャンスを狙っていた。それで、僕は最後の2カーブで、スプリントをしかけたんだ。」と優勝したビノクロフ。今シーズン初めに落車して、まだ目立った成績を残していないヴィノクロフだが、この勝利で調子が戻った事をアピールした。
総合トップのマルティネスは、集団の12位でゴールに入り、トップを守った。
ミディリーブル 第2ステージ Saint-Affrique〜Castelnaudary 158,5キロ |
総合成績 |
1.アレクサンドル・ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 4時間6分41秒 | 1.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 8時間22分43秒 |
2.Blaudzun(デンマーク、ホームジャック&ジョーンズ) 2秒遅れ | 2.デビアン(フランス、コフィディス) 1分54秒遅れ |
3.デュフォー(スイス、サエコ) 3秒遅れ | 3.ストレール(ベルギー、ホームJ&J) 1分55秒遅れ |
4.デビアン(フランス、コフィディス) 3秒遅れ | 4.Kyneb(デンマーク、ホームJ&J) 2分1秒遅れ |
5.バルト(フランス、カジノ) 6秒遅れ | 5.メニアン(フランス、カジノ) 2分1秒遅れ |
第3ステージは、21,4キロ間のタイムトライアルが行われ、ウラジミール・ベッリ(イタリア、フェスティナ)が、優勝。ベッリのタイムトライアルでの勝利は、1993年からのプロ入り初めて。このレースで驚いた事に、総合トップのマルティネスが、タイムトライアルでも健闘し、2位のタイムを出した。グランパーよりスプリンターと言うだけあって、タイムトライアルも得意のようだ。そいう訳で、総合トップ変わらず。
ミディリーブル 第3ステージ タイムトライアル Perpignan〜Perpignan 21,4キロ |
総合成績 |
1.ウラジミール・ベッリ(イタリア、フェスティナ) 26分25秒40 | 1.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 8時間49分15秒 |
2.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 7秒54遅れ | 2.メニアン(フランス、カジノ) 2分7秒遅れ |
3.メニアン(フランス、カジノ) 13秒54遅れ | 3.ストレール(ベルギー、ホームJ&J) 2分10秒遅れ |
4.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 17秒遅れ | 4.ウラジミール・ベッリ(イタリア、フェスティナ) 2分46秒遅れ |
5.ストレール(ベルギー、ホームJ&J) 21秒74遅れ | 5.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 2分47秒遅れ |
第4ステージは、向かい風が強く、困難なレースとなった。総合トップのマルティネスを含む21人の先頭集団が出来、ゴール40キロ手前で、サルモン(フランス、カジノ)が一人でアタックをかけた。第2ステージでは、ゴール前で集団に吸収されてしまったサルモンだったが、今回は逃げ切り、うれしい勝利を手に入れた。さらに、この勝利でサルモンはマルティネスから1分11秒稼ぎ、総合3位に上がってきた。
ミディリーブル 第4ステージ Thuirs〜Beziers 184キロ |
総合成績 |
1.ブノワ・サルモン(フランス、カジノ) 4時間30分2秒 | 1.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 13時間20分28秒 |
2.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 55秒遅れ | 2.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 2分26秒遅れ |
3.ウロー(フランス、ラ・フランセーズ・デジュ) 55秒遅れ | 3.サルモン(フランス、カジノ) 2分31秒遅れ |
4.シモン(フランス、クレディアグリコル) 55秒遅れ | 4.Kyneb(デンマーク、ホームJ&J) 2分40秒遅れ |
5.Kyneb(デンマーク、ホームJ&J) 55秒遅れ | 5.Blaudzun(デンマーク、ホームJ&J) 2分50秒遅れ |
第5ステージは、最後にサンクレールの山(1.6キロの上り最高20%)を1周半し、頂上にゴールする山岳コース。レースは、総合争いに関係のない13選手が先頭グループを形成して、そのまま最後の難関サンクレールの山に入った。コメッソ(イタリア、サエコ)が最初に頂上を通過。集団は、ビノクロフ(カザフスタン、カジノ)のアタックで、総合トップのマルティネス(スペイン、ウスカテル)が必死に付いて行く。後ろから加速してきたサルモン(フランス、カジノ)がこの2人をわずかに抜いて、コメッソから3分20秒遅れで頂上を通過する。
モンサンクレールの山の2周目では、グーゴ(フランス、カジノ)がアタックをかけて、ゴールを目指す。これに、コメッソが追い付き、すぐさまアタック。このままコメッソがゴールかと思われたが、後ろからメニアン(フランス、カジノ)が、ぐいぐい追い上げてきて、コメッソを抜き去り、はにかみながら、喜びいっぱいでゴールした。「のぼり始めはいまいちだったけど、だんだん調子が良くなってきた。前の選手たちが疲れてきてたので、一気に頑張った。でも、最後はくたくただったよ。」と優勝したメニアン。
一方、総合優勝争いは、サルモンがこのステージの勝者メニアンから2分56秒遅れ、ビノクロフが3分12秒遅れ、マルティネスが3分40秒遅れでゴール。マルティネスは、苦手な山にもかかわらず、大健闘し、総合トップを守りぬいた。
ミディリーブル 第5ステージ Beziers〜Sete(Mont Sant-Clair) 169,5キロ |
総合成績 |
1.メニアン(フランス、カジノ) 4時間6分26秒 | 1.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 17時間30分34秒 |
2.コメッソ(イタリア、サエコ) 8秒遅れ | 2.サルモン(フランス、カジノ) 1分46秒遅れ |
3.グーゴ(フランス、カジノ) 11秒遅れ | 3.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 1分57秒遅れ |
4.Sonne(デンマーク、アクセプトカード) 20秒遅れ | 4.Kyneb(デンマーク、ホームJ&J) 2分56秒遅れ |
5.ブルギニオン(フランス、ビッグマット) 30秒遅れ | 5.デュフォー(スイス、サエコ) 3分28秒遅れ |
最終の第6ステージも、山岳で一番長い214キロのコース。現在1位のマルティネスは、初日の意外な勝利から、5日間トップの座を守り抜いている。2位のサルモンは1分46秒遅れ、3位のビノクロフは1分54秒遅れだが、2人とも山岳を得意とする選手なので、カジノとしては、何としても1位を手に入れたい。
レースは、8人の先頭集団が形成。ウスカルテルチームが集団を引いて、後を追う。ゴール60キロ手前で、先頭グループから、グーゴ(フランス、カジノ)が飛び出し、一人で逃げる。集団の方は、コメッソ(イタリア、サエコ)が、一人で集団を引き、集団は長く伸びて山を上る。マルティネスのアシストが、徐々に減って行くが、マルティネスは何とか集団に残っている。グーゴが先頭を一人で走っているため、同じチームのサルモンとビノクロフは、動きを見せずに、ずっと集団に留まっていた。
その後、集団の追い上げで、差が20秒になった事を知ったグーゴは、テレビカメラにバイバイと微笑んで手を振って、逃げるのをあきらめた。そのあと、すぐサルモンが集団からアタックし、一人でグイグイ山を登って行く。一方、集団に残ったビノクロフは、「誰が付いて行くのか見ていたけれど、誰もあえて動こうとしなかった。残り25キロを一人で走り切るのは大変だから、僕がアタックしたんだ。」とアタックをし、逃げるサルモンに合流した。さすがに、総合トップのマルティネスは、付いて行けず、1人だけどんどん後方へ下がって行った。
先頭の2人は残り25キロを協力しながら走る。しかし、この2人の総合タイム差は僅か10秒足らず。まだどちらが勝つか分からない。最後に控えた2.9キロの坂で、お互い牽制しあいながら、ゴールを目指し、最後はお互い手を取り合ってゴール。ビノクロフがステージ勝利を取り、サルモンが総合優勝を手に入れ、喜び合っていた。
その頃、初日からずっと総合トップのマイヨジョーヌを着ていたマルティネスは、まだ苦しみながら山を上っているのだった。
ミディリーブル 第6ステージ Sete〜Mende 214キロ |
総合成績 |
1.ビノクロフ(カザフスタン) 5時間37分55秒 | 1.サルモン(フランス、カジノ) 23時間10分9秒 |
2.サルモン(フランス、カジノ) 同タイム | 2.ビノクロフ(カザフスタン、カジノ) 7秒遅れ |
3.ガブリエル(フランス、ホームマーケット) 1分31秒遅れ | 3.マルティネス(スペイン、ウスカルテル) 3分40秒遅れ |
4.ウロー(フランス、ラ・フランセーズ・デジュ) 1分39秒遅れ | 4.デュフォー(スイス、サエコ) 4分2秒遅れ |
5.Piil(デンマーク、アクセプトカード) 1分59秒遅れ | 5.シモン(フランス、クレディアグリコル) 4分26秒遅れ |
意外なマルティネスの頑張りで、久しぶりに、面白いレース展開でした。でも、テレビ放映時間の都合で、マルティネスの走りが最後まで見れなかったのが、ちょっと残念。
「リーダーは集団の先頭にいなければならない。」と言うマルティネスは、リーダーになってから、ずっと先頭で走るように心がけていました。遅れても、何とかついて行くマルティネスの走りぶりに、みんなが驚き、熱狂していました。これからが大いに期待できるバスクの新星選手です。
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