SAMEDI 2 DECEMBRE 2000 

 

 

【凍った尿は誰のもの?】

UCI(国際自転車競技連盟)の会長ヴェルブルゲンが、今年のツール・ド・フランスでドーピング検査用に摂取され、冷凍保存されている91検体の尿を破棄すべきだと、フランスのアンチドーピングを取りしきっている青少年・スポーツ大臣に手紙を出したため、この行為はアンチドーピングに反しているとフランスでは問題が広がっている。

今まで体内にあるEPOとドーピングとして注入されたのEPOの見分けがつかなかったため、ドーピング薬物の問題がひどくなっていたのだが、今年のツール・ド・フランス前に、ドーピングされたEPOの検出が尿検査で見つける事ができるとフランスのシャトゥネイ・マラブリ研究所(パリ)が発表した。しかし、この検査の信ぴょう性はすぐには認められず、とりあえず保留ということで、ツール期間中に採取した検体を冷凍保存し、IOC(国際オリンピック委員会)がOKを出すのを待っている。

しかし、UCIは破棄するべきだとフランス政府に言うのだ。

UCIの言い分としては、下記の通り。

1.現在になっても、シャトゥネイ・マラブリ研究所で検査の見通しがついていない。
2.冷凍保存されているとはいえ採取してから日がたっているので正確な調査ができない。
3.11月15日をもって、2000年のツール・ド・フランスの結果は確定したので、それに対するドーピング検査は不必要である。
4.UCIの規定項目130に書かれているとおり、これらの検体はUCIのものであって、UCIのものでなければ選手個人のものである。したがって、政府のものではない。

これに対し、青少年・スポーツ大臣であるマリージョルジュ・ブッフェは、「UCIは検体の破棄を反対する手紙をよこすべきで、それらの使用を許可するべきだ。そしてその場合、検体をアンチドーピングとして選手に処分をくだす為に使用するのか、それとも研究の為に使用をするのか、その点をUCIははっきりさせなくてはいけない。私としては、陽性の場合、このような分析結果にたいする処分は行わない方がいいと思う。しかし、2000年のツールの集団でEPOに頼る選手の統計を出すために、検査が可能になるまで保管したほうがいい」と言う。

この件については、月曜日にUCIとフランス政府によって話合いが行われる。

【千穂のちょっとした話】
昨日ニュースでこの話をしていて、お〜またかぁと思って軽く流して見ていたら、今日のお昼のニュースでもしていました。日本では全く話されていないでしょうが、こちらではちょっとした問題になってます。ツール・ド・フランス主催者のジャンマリー・ルブランも、これはモラルの問題で、これらの検体を使って検査するとUCIは公表していたのだから、きちんと検査するべきだと言っています。USポスタルのドーピング疑惑の調査が法的に進められる事が決まったため、このような問題に発展したと思われます。
UCIの検体を破棄したい気持ちも分からないワケではないですが、ここまで明らかになっている今、もっと進んだ調査を行うべきで、EPOが良いか悪いかはともかく、ロードレース選手にとって必要不可欠なものなのかどうかを議論すべき時だと思います。
さーて、この問題どうなるでしょうか?


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