プレスカードの特権

 残念ながら、今回のツール・ド・フランスは、相棒万里ちゃんの様に、ミーハー的には追いかけられなかった。これは残念な事である。しかし、プレスカードの特権と言うのもある。カードがあるから入れる場所、見られる選手、ある出会い。それを一挙にご紹介。

 

その1 ヴィラージュ

 まず、朝のヴィラージュに入れる事である。ヴィラージュの説明は、NTTの私のHPを見てもらう事にして、毎朝ヴィラージュに選手達が集まってくる。有名どころは、ほとんどヴィラージュで見る事はないが、選手とお近付きになるのは結構簡単である。今回のツールでは、フランセズ・デジュのジャージにゼッケンがプリントされていたのだが、それが違反と言う事で、毎日のように誰かが、ゼッケンを付けるのを忘れて罰金を払っていた。それにしても、なぜプリントゼッケンがいけないんだろう?そう思っていた時、パリ〜ルーベでインタビューした事のあるフレデリック・ゲドンをヴィラージュで見つけた。チャンス到来!
 ゲドンは一見恐そうな顔なので、声を掛けづらいのだが、話してみるといい人なのである。「ジロでは、フェスティナがしていたんだ。なのに、ツールじゃ駄目なんだって、そんなのあるかい?ツールの規則で駄目なんだって。納得行かないよ。このジャージ、毎日ゼッケンを取り付けなくて、すごい便利だったんだけど、今は上からちゃんとしたのを貼らなきゃ駄目なんだ。」とにこやかに話してくれた。これを聞いて私も、3週間毎日付けたり、はずしたりは大変だろうと同情していたのだが…。この数日後、大変な事が起こるとは、全く知らない2人であった。

 

その2 ゴール地点

 私の場合、ゴール直後の選手を間近で見られた。これは、かなりの特権である。しかし、ゴール後の選手と言うのは疲れ切っていて、時には恐ろしい。当然の事ながら、ウインクなどしてくれるはずもない。(詳しくは、万里ちゃんの見つめあってるズへ)

 29日、第17ステージは、選手のゼッケン取り外しデモのため結果が出なかった日で、エクスレバンのゴールで待っていた私は、いろんな選手のインタビューが聞けた。インタビューを聞いたと言っても、他の人が聞いているのを横で聞いていたりしただけなのだが、ブルギニヨンや、ジャッキー・デュランがインタビューを受けていた。自転車界では、おしゃべりで知られているリュック・ルブランもここぞとばかりに、インタビューを受けていた。みんなが一斉にゴールしてくるので、全ての人のインタビューがとれる訳ではなく、報道陣も必死である。特に、テレビカメラマンは、選手を見つけては走り回っているので、うかうかしていると、カメラがゴツンと言うこともあった。この日は、選手たちは比較的報道陣に話をしていたが、たいていは次の日に備えてとっとと帰ってしまうか、レース後のテレビ番組、「ヴェロクラブ」へ出演するかのどちらかである。

では、ジャーナリスト達は、どのようにして有名選手に質問するのかと言うと、記者会見と言うのが設けられるのである。これは、マイヨジョーヌを着た選手(初日のみ)とステージ優勝選手が呼ばれ、質問し放題なのである。(たいてい5分〜10分ほど)しかし、ツールは変わっていて、プレスセンターと記者会見室が中継で結ばれて放送されるテレビ記者会見なのである。全く初心者の私は、このシステムに初め驚いていたが、慣れると「なぜテレビの選手と話しているんだろう?」という違和感も無くなる。ちなみに、ここでも小心者の私は、質問できなかった。プレスセンターにいる他のジャーナリストも、あまり質問していなかったから、これは、聞いているだけで充分なのかもしれない。そこで、誰が質問しているのかと言うと、数人のジャーナリストが記者会見室に入り込んで、質問するのである。当然、プレスセンターにいる私たちには見えないので、誰が質問したのかは分からない。しかし、私の知るところでは、一度だけ女の人が質問していた。私も、来年は質問できるぐらいの知識とフランス語を備えて、テレビ記者会見に望もうと思っている。カメラに向かって、投げウインクもいいかもしれない。ふふ、来年が楽しみだ。

 


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