《夢のシャンゼリゼ通りでゴールを見よう!》

 私がツールを初めて生で見たのは、94年のシャンゼリゼ。どうしても、ツールを見たくて、大学のテストが終わるとすぐに、友達とヨーロッパ旅行に出発した。友達は、全く自転車など興味がなく、しょうがないので私一人で、シャンゼリゼへ。ツールが見られるという事で、張り切って10時前から行ったのに、町はまだ静かで、シャンゼリゼ通りをぶらぶらしていたら、いつのまにか人垣が…。慌てて、気に入っていた場所に戻って、そこで見る事になった。しかし、夏のフランスの日差しはきつく、頭がボーッとしてくる。人でぎゅうぎゅうだから、座れる余地もないし、ずっと立ちっぱなしで、暑さと喉の渇きに耐え、横でゴクゴクとペットボトルのジュースを飲むおばさんと、後ろの方でジュースを売るおじさんを怨みながら、4時ぐらいまで待っていた。その時の日記を見ると、周りの人が何を飲んでいたのかまで書かれているから、私が死ぬほど喉が渇いていたのがよく分かる。

 こうして、試練に耐え、念願の選手の集団がやって来た時は、なんとも言えないほど感動した。何と言っても、インデュラインのマイヨジョーヌは、一際目立って、輝いていた。シャンゼリゼの周回は、あっという間に終わってしまった。でも、選手が何回も目の前を走っていくので、充分楽しめた。レースが終わると、さっそくジュースを買いに行った。ほっと一息ついて、大通りを下っていくと、何やら観客が騒がしい。何だろう?と人垣の隙間から覗くと、選手がいる!なんだ?と思ったら、ゴール後に各チームのパレードがあったのだ。そんな事を全く知らなかった私は、人垣の後ろの方で、ごま粒の選手しか見る事が出来ず、見てた場所から動かなければ良かった〜とかなり後悔した。

 こういう訳で、パリのシャンゼリゼでの観戦は、旅行者には手っ取り早く、充分楽しめるのだが、それなりの覚悟をしていかなければならない。

 来年、またはいつかシャンゼリゼのゴールを見に行きたいと言う人には、まず、場所取りの難関が待っている。あまり遅くに行くと、例えば、コンコルドなどメトロの出入り口が通行止めになっている所があるので、要注意。しかし、私のように、早く行き過ぎても、疲れるだけである。シャンゼリゼ通りでどうしてもみたいと言うのなら、早く行くにこした事はないが、シャンゼリゼ通り以外でも、セーヌ川沿いなど、日陰でなかなかいい所もあった。大通りでの私のお勧めは、コンコルドよりも凱旋門側の方がいいと思う。なぜなら、コンコルド側は、ゴールと表彰台があるので、関係者のゾーンが多い。その上、マイヨジョーヌを着た自国の選手を称えるために、熱狂的なファンがやって来ていて、集団で陣取っている。そういう訳で、普通の人には、入る余地が少ししかない。

 次に大切なのが、飲み物と食べ物。これは、絶対必要である。特に、一人で見に行くなら、忘れずに持っていってもらいたい。一度動いてしまったら最後、もう二度と元の場所には戻れないってくらい人がいっぱいなのである。

 最後に忘れてならないのが、ゴール後のパレードである。レースを見なくても、これは見る価値ありってくらい、選手の喜びに満ちた笑顔と選手達のパフォーマンス(モンカッサンはウイリーしていた)が見られ、観客に対するサービス精神満載のパレードなのである。しかし、このパレードは、あくまでシャンゼリゼ通りだけなので、違う場所でレースを見た人は、すぐにシャンゼリゼ通りに戻るべし。ゴールしてから、表彰式とかもあって、約30分後くらいからパレードは始まる。ぜひ、感動的なパレードを見ていただきたい。

 

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